放課後、昇降口で靴を履き替えていると、隣のクラスのヤマトが声をかけてきた。
「お、帰るの?」
「うん。ヤマトも?」
「ちょっと待ってよ。一緒に帰ろう。」
そう言ってヤマトは急いで靴を履き、僕の隣に並んだ。校門を出てしばらく歩くと、ヤマトが肩をポンと叩いてきた。
「今日の授業、眠かったな。」
「お前、ちゃんと聞いてた? 先生に当てられてたけど。」
「あー……バレた?」
笑い合いながら歩いていると、ヤマトが突然、僕の手を握ってきた。びっくりして足を止めると、彼はすぐに離して「ごめん、なんか急に」と照れくさそうに笑った。
「……別に、いいけど。」
そう言うと、ヤマトはもう一度、今度はゆっくりと僕の手を握った。温かい手のひら。僕も握り返した。
それからは何も言わずに、手を繋いだまま歩いた。夕日が長く影を伸ばしている。交差点で信号待ちをしているとき、ヤマトが小さく「……また明日な」と言った。
「うん。また明日。」
その日から、僕たちはたまに手を繋いで帰るようになった。誰にも言ってないけど、それがちょっとした楽しみになっている。